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よしだしょういん

吉田松陰

徳富 蘇峰

「国民之友」1892(明治25)年5月~9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,622 字 · 269 页

青空文庫

三人暢夫と謀り十年ばかりも名望を養えと申し置き候。三人へ示し候書、御帰国の日御覧下さるべく候〔静思は遠識を生ず〕。

○読書は勉強さえすれば書中自ら妙味有り、必ずしも言わざるなり。『下学邇言』御読み成され候由また妙。王陽明の『伝習録』その外真味あり、陸象山いう、「六経はみな我が注脚」と、この見極めて妙。読書論は申したき事あれども言うも無益なり。

○今日諸侯の処しよう、これも愚考の所、在邸の節密かに建白致し候えども、囚奴の言、政府何ぞ信用あらん。しかし知己のために一言して併せて高論を乞う。僕江戸に来り墨夷の事体見聞、大いに驚き、また窃かに喜ぶ。また深く惜しむことあり。墨夷本牧を以ていまだ足らずとし、江戸に来居、市中自在に横行するは、応接条約等の表にては当然の事には候えども、現在に目撃すれば随分驚き申し候。しかし英夷阿片交易のことに付き、瘍医を広東へ渡し療治を施させ、これに継ぐに引痘を以てする等の苦心(『海国図志』中奥東日報に見ゆ)、その思慮深遠というべし。墨夷は人心を懐柔するの手段大いに英夷に劣る。ここを以て窃かに喜び申し候。然るに機は得難く失い易し。