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よしだしょういん
吉田松陰
徳富 蘇峰
「国民之友」1892(明治25)年5月~9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,622 字 · 269 页
墨夷の為す所市中の人心を失うとも、また数十年無事ならば人心も自ら帖服すべし。この機会を失うこと豈に惜しからざらんや。幕府初めは墨夷を借りて諸夷を制し諸侯を抑えんと欲す。而して今は何となく悔悟の色あり。悔悟すれども膺懲の奇策なければ淪胥与に喪ぶるの外致し方なし。将また京師の一条も幕府最初の思い過ちにて、追々糺明あればさまで不軌を謀りたる訳にこれ無く候えば、今また少しく悔ゆ。ここを以て今諸侯において誠に大切の時なり。今正義を以て幕府を責むるは宜しからず候えども〔これ平生の口吻にあらず〕、上策は彦根、間部等の所は誠実に忠告するに如かず。中策は隠然自国を富強にしていつにても幕府の倚頼となる如く心懸くべし〔獄中の意見何んぞ実着なる〕。今幕府への嫌忌と見えて杉蔵らが獄さえ免ぜず、遊学生も容易には出さず、坐ながら事機を失う、残念なり。せめては中策にても出だせかし。
○京師の一条に付き、投獄の人少なからず。この獄みな失策なり。
清水寺の僧信海、勅を奉じて敵国を調伏し万民を安穏にせんことを祷る。事、幕忌に触れ、捕えられて獄に下り、病を以て没す。実に今茲四月某日なり、遺歌一首有り。