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よしだしょういん
吉田松陰
徳富 蘇峰
「国民之友」1892(明治25)年5月~9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 135,622 字 · 269 页
一方の無事に苦しむ所、その不穏なる精神の沸騰する所、小児らしき所、その恐ろしき程真摯なる所、その天地をも動かさんとする熱心の所、その天真爛にして瑕瑜相い掩わざる所、悉く挙げて『幽室文稿』にありとせば、他方の天下みな是とするもこれを信ぜず、天下みな非とするもこれを疑わざる自信力、自から造化の寵児を以て任じ、天民の先覚を以て居る大抱負、その荘容森貌にして、巍々堂々たる風、その古今に通じ天人を極めたる博学精識、その空想を賤しめ実学を務め、あくまで経験的の智識を重んずる、悉く挙げて『省※(「侃/言」、第3水準1-92-10)録』にありとせざるべからず。二書の相異なるは、なお二人の同じからざるが如し。
人あるいは佐久間、横井を併称す。彼らが一世水平の上を射れる大眼界は、則ち一なりといえども、その人物は各※(二の字点、1-2-22)特殊の性格あり。横井は実学を唱う、物に格りて知を致すは、彼が学問の功夫なりといえども、彼の彼たる所以は、「神智霊覚湧きて泉の如き」直覚的大活眼にあるなり。佐久間は易理に通じ、「聖学を講明し、心に大道を識る」を説く。然れども彼の本領は、かえって大建築師が、図按を立つる如く、悉く実数の上より推歩打算し、一糸一毫決して違わざるに在り。