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どうほう

同胞

豊島 与志雄

「中央公論」1924(大正13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,713 字 · 32 页

青空文庫

単に美しいというだけでなしに、その眼鼻立をすっかり見て取りたいものと、心の努力を重ねるうちに、一体そういう兄弟姉妹を、自分は昔持ってたのか、現在持ってるのか、未来に持つようになるのか、または夢の中でだったのか、何だかもやもやとしてきて、一切分らなくなってしまうのだった。

馬鹿馬鹿しい空想だ、と恒夫はその想いから覚めると考えて頭の外に投り出してしまったが、それでもやはり時々、我知らず其処へ落込んでいった。事実の彼方という杳けさが、彼の心に甘えていた。

所が、それが単なる空想でなしに、事実となって現われてきた時、彼は喫驚して、父の位牌の前に沢山香を焚いた。

父の十三回忌の法会の日だった。家の者や近しい親戚の者など皆で、朝の十時頃寺へ行って、仏事を済し墓参をしてから、料理屋の方へ廻ろうとする段になって、二三日来気分の勝れなかった祖母が、身内に寒けがすると云って、すぐに家へ帰りたがった。で、母がその伴をすることになりかけたが、先程から窮屈を覚えだしていた恒夫は、鹿爪らしい祖父や伯父達の間に交って、御馳走を食べに行った所でつまらない、というような予想から、強いて母に代りたがった。