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『ゆいけんニュース』

『唯研ニュース』

戸坂 潤

「唯研ニュース」1933(昭和8)年11月20日号~1938(昭和13)年2月15日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,567 字 · 35 页

青空文庫

一九三八年二月十二日、唯物論研究会はいよいよ解散になった。会設立以来、正に五カ年五カ月、多少の感慨なきを得ない処であるが、この際感傷的になるのは、あまり道徳的ではない。それよりも雑誌『唯物論研究』が『学芸』と改題されて眼新らしい編集の下に出版される予定だというから、そのことでも胸に描きながら、未来を楽しんだ方がいいと私は考えている。

君は全くオプティミストだねと感心する友人に対して、私はいつもこう説明する。俺の楽天主義には科学的なレーベンスワイスハイト(「哲学」)がある。何しろ人生は賭けだということを、まず呑み込んでもらおう。奇(チョウ)と出るのが五〇パーセント、偶(ハン)と出るのが五〇パーセントなら、奇偶どちらか景気のよい方へかける。そうした方が、景気の悪い方へ賭けるよりも、得をするという計算だ。パスカル氏は神様についてそう云っている。私だけの「哲学」ではないことがわかるだろう、そこでは私は、いつも楽観することに決めている。

遊び人のように奇偶の理を省察すると共に、私は香具師のようにアバンチュールの徳に対し尊敬を払っている。別に恋のアバンチュールに限るのではないが、ひと仕事やるには、いつもアバンチュール好みは私の楽観説と離すことは出来ない。