轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

とらわれびと

囚われ人

豊島 与志雄

「群像」1952(昭和27)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,109 字 · 35 页

青空文庫

何度も叩く。だが正夫は、顔を伏せたまま身動きもしない。愛子のそばに、肥満した男が立ち上る。顔も太く、体も太く、手足も太く、殊に腹はでっぷりしている。その上、ひどくだぶだぶの服を着ているので、よけい肥満して見える。

酒太郎――この酒太郎に言わせると、そりゃ愛子の方が無理だ。何もはっきりした理由もないのに、徒らに難癖をつけるというものだ。どだい、女の言うことは、すべて主観的でいかん。俺が本当に客観的なことを言ってやろう。それなら承認出来るだろう、ね、正夫君。

正夫はちらと顔を挙げて、不思議そうに酒太郎の方を眺め、急に顔をしかめて俯向く。

酒太郎は両腕を差し出し、指をすっかり開いた両の掌をちらちら動かす。

酒太郎――いつも君は丈夫で、いいなあ。だから俺は君が好きさ。酒を飲みすぎると体に障る、と言う奴もいるが、そんなことに耳を貸しちゃいかん。遠慮会釈なく飲むがいいよ。

酒太郎は両手を腰にあてて、正夫をじっと見る。そのそばで、体をくねくねさしてる愛子こそ、酔っ払ってるように見える。

酒太郎――正夫君、君の酔いっぷりは甚だよろしい。世の中の者、たいてい阿呆だから、何度も繰り返して言ってきかせなければ、はっきり納得しない。