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よんじゅうはちにんめ

四十八人目

森田 草平

「改造」1929(昭和4)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,183 字 · 112 页

青空文庫

ず打捨てること、なお味方の手負いは肩に引懸け連れて退くことが肝要だが、歩行難渋の首尾になれば、是非におよばす首を揚げて引取ること、そのほか合図の小笛、鉦、退口のこと、引揚げ場所のこと、途中近所の屋敷から人数を繰りだした場合の挨拶、上杉家から追手がかかった時の懸引、なおまた討入って勝負のつかぬうちに御検使が出張になった場合、それに応ずる口上にいたるまで、すべて十二箇条にわたって残る隈なく討入の手筈を定めた上、最後に退口のことを念頭に置いては、かえって心臆するかもしれない、しかし退いても一定助からぬ吾らの身である、申すに及ばぬ儀なれど、めいめい必死の覚悟にて粉骨砕身すべきことと結んであった。これには二三質問も出た。が、入念な忠左衛門の説明に、一同満足して、異議なくそれを承認した。

それから当夜の各自の扮装、討入の諸道具についても話しがあった。これはそれまでにめいめいその準備をしていることではあるが、持合せのないもの、または当夜に限って必要なもの、たとえば槍、薙刀、弓矢の類を始めとして、斧、鎹、玄能、懸矢、竹梯子、細引、龕灯提灯、鉦というようなものは、かねてその用意をして平間村に保管してあるから、明日、明後日両日の間に、それぞれ取寄せておいてもらいたい。