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よんじゅうはちにんめ

四十八人目

森田 草平

「改造」1929(昭和4)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,183 字 · 112 页

青空文庫

ただしそんなことから事の破れになってはならぬというので、人目に立たぬように、それに関与する人数から役割まで定めて、それぞれ言いわたされた。

こういう風に相談が多端に亙ったために、頼母子講は夜に入ってようやく散会となった。散会となるや、安兵衛と勘平とは庄左衛門のことが気になるので、宙を飛ぶようにして林町の宿へ駈け戻った。小平太もその後に随いて走った。が、そんな時分に、駈落者がそこらにうろうろしているはずもない。安兵衛は取散らした荷物の間に坐って、机の抽斗を開けては、しきりに小首を傾げ始めた。

「何か見当りませぬか」

「ふむ、金子が少々足りないようだ。それに、拙者の小袖も見当らない」

「なに、金子?」と、勘平と小平太もあわてて駈け寄った。

「いや、御安心ください。大石殿からお預りして、おのおの方にお渡しするはずの金子は、別にしまっておいたからだいじょうぶでござる。ただ手前の小遣い銭が少々紛失いたした」

「それはそれは」と、二人ともしばらく開いた口が塞がらなかった。

「それにしても」と、勘平はまた猛りたった、「何という卑劣な所業でござりましょう。脱盟して吾々の顔を潰すさえあるに、他人の金品まで盗んで逐電するとは!」