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としょかん

図書館

宮本 百合子

「文芸」1947(昭和22)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,707 字 · 14 页

青空文庫

ただ西日がきつくさし込んだ。それで、勉強にはふさわしくない眩しい反射が頁の上に出来ているのにかまわず、若い専門学校の女生徒らしい人たちがあちらこちらにかなり多勢読んでいる。婦人閲覧室が別になっていたとき、その室には女ばかりの空気があって女学校の寄宿舎の勉強室のようであった。同時に、友達同士で来ている人たちの私語がかなりやかましいようなときもあった。男の人々と交って一般閲覧室にいる女のひとたちで、気になるような話をしているものはない。度々同じ閲覧室で出会い、ときには必要な本の索引のひきかたをきき合ったりすることから、婦人閲覧室の仲間が出来て、東京でたった一つ、それがきっかけとなっている興味ある婦人たちのグループがある。その人たちは、十年前には、それぞれ専門学校生徒だったり勤めをもっていたりした人々であった。若い女性の心にうごく願望に導かれて、それらの人はばらばらに図書館に来て、学校の課目や勤めの義務以外の勉強をしているうちに、段々互に顔なじみになり、話しがはじまり、御弁当のとき一緒に食堂へ行くようなことから、一つの集りが出来た。互に励しあい勉強しあって、夜が更けてからの気味わるい上野の山内をみんでかたまって帰って行くような扶け合いから、これらの人々は若い女の人たちの集りとしては珍しく、時によっては経済上の