轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こくじはんのゆくえ

国事犯の行方

国枝 史郎

―破獄の志士赤井景韶―

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,341 字 · 13 页

青空文庫

「…………」

黙って暫く立っていたが、「承知しました」と叫ぶように云うと大井刑事は室を出た。

赤井景韶は国事犯である。静岡県には同志もあろう。其方へ逃げたに相違無い。行って捕縛しろという謎なのである。

×

静岡県藤村在落合村の一流名士で自由党員として令名のある清水綱義方の裏門が内からこっそり開けられて二人の人物が現われた。

時は初冬の草昧で戸外は一面靄立ち罩め人の姿さえ朧ろである。

一人は主人の綱義で柔道で固めた肉体は堂々として立派である。もう一人の男は旅人と見え、三斗笠を冠り茣蓙を纏い手に竹杖を突いているが何うやら夫れは仕込杖らしい。

二人は足早に歩いて行く。殆ど一言も物を云わない。

大井川の岸まで来た。長い橋がかかっている。橋番の爺に橋銭を渡し二人は橋を渡りかけた。と、旅人は綱義に云った。

「もう結構でございます」――「いや、最う少し」と綱義は云った。「向う岸まで送って進ぜる」

で、二人はズンズン歩いた。軈て橋の中程迄来た。と、行手から五六人の車夫が足を早めてやって来た。二人は何気無く振り返って見た。と、背後からも同じように五六人の車夫が現われて此方へ足早に歩いて来る。