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とさのちめい
土佐の地名
寺田 寅彦
「土佐及土佐人」1928(昭和3)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,113 字 · 7 页
土佐 門狭ですなわち佐渡の狭門に同じく狭い海峡をはいって行く国だとの説がある。しかしアイヌで「ツサ」は袖の義である。土佐の海岸どこに立って見ても東西に陸地が両袖を拡げたようになっているから、この附会は附会として興味がある。もしこれがアイヌだとすると、隣国讃岐は「サンノッケウ」すなわち顎であろう。能登がアイヌの「ノト」頤である事は多くの人が信じている。
坪井博士の説ではトサはやはりチャム系の言葉で雨嵐の国だそうである。これだとあまり有難くない国である。
高知 これは従来の説では、河内すなわちデルタだそうである。坪井博士の説ではチャム語で島である。しかしアイヌだと「コッチ」「コーチ」宅地となる。これはまたマレイの「コータ」堡塁とのある関係を思わせる。
以上は大部分ただ偶然の暗合に過ぎないかもしれない。しかし中には実際ある関係をもつものもあるかもしれない。関係があるとしても、それがどういう関係であるかは分らない。実際アイヌの先祖の言葉であるのか、また我々の先祖の言葉が今のアイヌの言語に混入しているのか、あるいは朝鮮、支那、前インド、南洋から後に渡来したのがアイヌの先祖と吾等の先祖の言語に混合しているのかそれはなかなか容易に決定し難い問題である。