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ちじょう

地上

島田 清次郎

地に潜むもの

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页

青空文庫

彼には「貧乏」に苦しめられることが、現実的に政治家となって多くの人間の「貧」の苦痛と害悪を除かずにはおかないという内面的論理を踏むのであった。常に平一郎の熱した理想や空想の聴衆である和歌子や深井には、平一郎が第一流の政治家になることほど容易で実現され得る事実はないと信じられた。

「政治について僕は少年だから何も知らない。しかしそんなことは大きくなって勉強すれば分ることだ。とにかく僕は貧乏だ。僕が貧乏である以上、僕は政治家になる使命がある!」と叫ぶ平一郎に、一人は可愛さを一人は信頼と崇拝を無性に感じていた。たとえ貧乏であろうとも、献身的な母を家に、また、美しい勝れた少女と少年を自らの愛するものとして生活する少年平一郎は幸福である。幸福のうちに十五をおくり、十六の三月、彼は四年に進級した。彼は首席ではないが、悪い成績ではなかった。

十六の春である。人間に恵まれた力の一斉に成長し奔騰する目覚ましい時期である。平一郎は自分ながら伸びた背丈や、張りきった肉付や、はっと気づくと恐ろしく大きな喨々たる声音で話している自分の声や、高潮する熱情に驚いた。最も有望な、最も危険な時期が自分に来ていることは彼にも分った。