轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちじょう

地上

島田 清次郎

地に潜むもの

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页

青空文庫

「節倹の必要」ということに何の情熱も気力も感じられなかった。彼の真の生活は寧ろこうした教室における動作を辛抱することによって保証される家庭にあった。彼のそのときの心理を記すなら、彼は講義しながら女学校の二年になる長女と小学校六年の次女のことを考えていた。彼には男の子がなかった。どうかして年を老らないうちに男子を一人儲けねばならないと考えつつ、「人はいかなる時においても質素を旨として、……」と続けるのであった。彼が待ち遠しい時鐘の音に教室のドアを出たとき、あの微笑を洩したとき感じた平一郎に対する静かに有望な未来を仰望しみるような一種の「いい奴」という風な好意は失せて、あとには「危険な奴」という思想が残ったのである。

次の時間の休みのことである。校長は教員室へ出かけて、今年は運動会の代りに極く内輪の生徒の成績品展覧会を催すことの相談をはじめた。秋の太陽が薄白い光を桜の樹蔭から一団の中学教師の古びた洋服の肩先へ流れ入っていた。校長を中心に四人の教師がいた。背の低い、顔の円い、濃い長い髭を両頬へはね出した男(彼は巡査というニックネームをもっていたが)は少しほころびたズボンのポケットに両手を突込み、短い両脚を二等辺三角形に突張って、「体操教師の立場として運動会を催されないのは遺憾だ」