轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちずにないまち

地図にない街

橋本 五郎

「新青年」1930(昭和5)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,139 字 · 32 页

青空文庫

見ると、いるいる、その広い部屋いっぱいに、たった一つの電燈を浴びて、もじりの者、法被のもの、はなはだしいのは南京米の袋をかぶったもの、いずれも表通りでは見られないような男達が、およそ四十人近くも、いっぱいに詰まって、いぎたなくそこにごろ寝をしているのだった。

「静かにするんだ。そしてほら、あの間へ寝転ぶといい。腹が空いているだろうが、また明日のことだ。寒けりゃこれをかぶって寝てもいいぞ」

老人がそれまで己れの身につけていた毛布を貸してくれた。氏にはこの建物が、A区の無料宿泊所であるとは翌日の朝までわからなかったそうである。老人のいった別荘の意味は、単なる隠語であったとは知ったが、毛布をかぶってごろ寝しながらも、氏はいよいよ不可解になってきた老人の正体を考えずにはいられなかった。

おそらくこの老人とても、こうして雑魚寝の連中と同一軌の人種に違いない、とそのことは考えられたが、なお氏の頭には、老人の態度その他の、変に紳士的なところが理解できかねたのである。

「よし、明日になったら聞いてみよう。そして老人の正体によって、これが受くべきでない恵みならば、いさぎよく受けないことにしよう」