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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

本船は今、難破もしかねないような吹雪の中に、やむをえず、ぐんぐん流されていくのだ。ひとの気にもなってみないで、いうことばかりいうと、むかむかしてくるのを、やっとおさえ、

「なにしろ、ひどい吹雪で、人力では、どうにもなりません。先が見えないのですから、いつ流氷に舳をくだかれるか、わかったもんではないのです」

「困ったなあ。汽船なんか、旧時代の遺物だね。潜水艦などは、大吹雪も平気で、どんどんこっちへついているんだ。君では、話にならない。船長をよんでくれたまえ」

「はあ、船長ですね」

船長が代って、電話をきいた。

「一等運転士のいうとおりですよ、全くどうにもなりません」

「船長の見込みでは、アーク号は、いつ到着するのかね」

「全く、わかりません。天の神様にでも、うかがってみなくてはなりません」

「おい、子供にお伽噺をしているんじゃないよ。はっきりしてくれたまえ、はっきり。こっちは、アメリカ連邦の興廃について、責任を感じているんだからな」

「でも、こればかりはどうも」

「では、仕方がない。こっちから、別の汽船か軍艦を迎えにやることにしよう」

「それは、どうも。迎えていただいても、貨物の積みかえにはどうにもなりませんよ」