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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

あの高い断崖から下へおちて、戦車がこわれなかったことが、じつにふしぎというほかない。

それもそのはず、ドイツとともに、世界に一、二を争う工業国アメリカが、そのすぐれた技術でつくりあげた極秘の地底戦車であった。その丈夫なことといったら、おそろしいほどだ。

それはいいが、地底戦車の中の三人は、一体、どうなったであろうか。

戦車の中は、電灯が消えて、それこそ、真の闇であった。

なんの音も、きこえない。

三人とも、あたまを、どこかかたいかべか、器械にぶっつけ、脳みそを出して、死んでしまったのであろうか。

いや、そうでもなかった。三人の心臓は、いずれもかすかではあるが、それぞれうごいていたのである。が、三人とも、死骸のようになって、うごかない。自分がいま、どこにいるか、それさえ分らない。三人とも、気がとおくなってしまったのだ。

だが、これっきり、三人とも、死んでしまうではなさそうだ。今に、一人一人、われにかえって、起きあがるだろう。しかし、それから先、どうして生きられるか、そいつは分らない。

だれが、先に、気がつくか。――これは、たいへん重要な問題だった。