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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

ところが、黄いろい幽霊は、どこへいったものか、見つからない。

「おやおや幽霊め、とうとう妖怪変化の正体をあらわして、逃げてしまったかな」

そういって、ピート一等兵が、ひとりごとをいったとき、彼の足許に一本の手がころがっているのを発見した。電灯の反対でさっきは、よくみえなかったのだ。

「うあッ、こんなところに、だれが腕をおとしていったんだろう?」

といったとき、その腕が、急に、ぐーっと、うごきだした。怪また怪!

廻れ右!

「ひゃッ!」

ピート一等兵は、その場に、とびあがった。元来、幽霊が大きらいのピート一等兵だったから、おどろくのも、むりではなかった。

だが、あまりおどろきすぎて、前後の見さかいもなくとびあがったものだから、大男の彼はいやというほど、頭を器械の角でぶっつけて、うーんと眼をまわして、その場にのびてしまった。どこまでも、世話のやけるピート一等兵だった。

ぐーっとのびた一本の腕が、やがて床――ではなかった、下になった天井をおさえた。その腕のうえに、肩が生え、それから、頭が生えた。黄いろい幽霊の頭であった。

そこには、黄いろい幽霊が倒れていたのに、そそっかしいピート一等兵は、彼の一本の腕だけ見たのである。