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じごくかいどう

地獄街道

海野 十三

「モダン日本」1933(昭和8)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,814 字 · 22 页

青空文庫

これはカフェ崩れの青年たちを目当てのガールなのだが、たまたまバー・カナリヤから出て来た彼の妖酒に酔いしれたお客さんだとて差閊えない。客の方では差閊えないどころかもう半分気が変になっている。だから桜ン坊の捕虜になって、円タクを拾うと、例の女の家の方面へ飛ぶのだ。そのうちに、又々妖しの酒の反応が現れて、こんどは全身がかゆくなる。かゆくて苦しみ出すころ、自動車は彼女の家の近くに来ている。隠れ家をくらますために家の近所で降りて、あとはお歩いだ。しかし何分にもかゆくて藻掻きだす。そこであの近所にある一軒の薬屋を叩き起して、かゆみ止めの薬を売って貰う。――どうだ、この先はどこへ続いていると思う」

「いや、それはあまりに独断すぎる筋道だと思う」私は最初のうちは彼の鋭い探偵眼に酔わされていたような気持だったが、話を訊いているうちに、なんだかあまりにうまく組立てられているところが気になった。

「独想ではない、厳然たる事実なのだ、いいか」と辻永は圧迫するような口調で云った。「そのかゆみ止めの薬が又大変な薬で、かゆみを止めはするけれど、例の妖酒に対して副作用を生じるのだ。