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じしんざっかん

地震雑感

寺田 寅彦

「大正大震災誌」1924(大正13)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,030 字 · 10 页

青空文庫

三 地震の源因

三 地震の源因

震災の源因という言語は色々に解釈される。多くの場合には、その地震が某火山の活動に起因するとか、あるいは某断層における地辷りに起因するとかいうような事が一通り分れば、それで普通の源因追究慾が満足されるようである。そしてその上にその地辷りなら地辷りが如何なる形状の断層に沿うて幾メートルの距離だけ移動したというような事が分ればそれで万事は解決されたごとく考える人もある。これは源因の第一段階である。

しかし如何なる機巧でその火山のその時の活動が起ったか、また如何なる力の作用でその地辷りを生じたかを考えてみる事は出来る。これに対する答としては更に色々な学説や臆説が提出され得る。これが源因の第二段階である。例えば地殻の一部分にしかじかの圧力なり歪力なりが集積したために起ったものであるという判断である。

これらの学説が仮りに正しいとした時に、更に次の問題が起る。すなわち地殻のその特別の局部に、そのような特別の歪力を起すに到ったのは何故かという事である。これが源因の第三段階である。

問題がここまで進んで来ると、それはもはや単なる地震のみの問題ではなくなる。