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こうふ

坑夫

夏目 漱石

深更半夜一个人走在松树林里,又累又困还没钱,突然茶店老板回头冲你一笑……这到底是要去哪?前方有啥在等着?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 页

青空文庫

――遠方にはおるが、そろそろ押し寄せて来そうな未来の敵を、見ていた。かように自分の心が、左右前後と離れ離れになって、しかも独立ができないものだから、物の後を追掛け、追ん廻わしているほど辛い事はない。なんでも敵に逢ったら敵を呑むに限る。呑む事ができなければ呑まれてしまうが好い。もし両方共困難ならぷつりと縁を截って、独立自尊の態度で敵を見ているがいい。敵と融合する事もできず、敵の勢力範囲外に心を持ってく事も出来ず、しかも敵の尻を嗅がなければならないとなると、はなはだしき損となる。したがってもっとも下等である。自分はこう云う場合にたびたび遭遇して、いろいろな活路を研究して見たが、研究したほどに、心が云う事を聞かない。だからここに申す三策は、みんな釈迦の空説法である。もし講釈をしないでも知れ切ってる陳説なら、なおさら言うだけが野暮になる。どうも正式の学問をしないと、こう云う所へ来て、取捨の区別がつかなくって困る。

自分が四方八方に気を配って、自分の存在を最高度に縮小して恐れ入っていると、

「御膳を御上がんなさい」

と云う婆さんの声が聞えた。いつの間に婆さんが上がって来たんだか、自分の魂が鳩の卵のように小さくなって、萎縮した真最中だったから、御膳の声が耳に入るまではまるで気がつかなかった。