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こうふ

坑夫

夏目 漱石

深更半夜一个人走在松树林里,又累又困还没钱,突然茶店老板回头冲你一笑……这到底是要去哪?前方有啥在等着?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 页

青空文庫

おそらく狐に撮まれたような風であったんだろう。見ていた坑夫共はまたぞろ、どっと笑い出した。自分はこの声を聞くや否や、いきなり茶碗を口へつけた。そうして光沢のない飯を一口掻き込んだ。すると笑い声よりも、坑夫よりも、空腹よりも、舌三寸の上だけへ魂が宿ったと思うくらいに変な味がした。飯とは無論受取れない。全く壁土である。この壁土が唾液に和けて、口いっぱいに広がった時の心持は云うに云われなかった。

「面あ見ろ。いい様だ」

と一人が云うと、

「御祭日でもねえのに、銀米の気でいやがらあ。だから帰れって教えてやるのに」

と他のものが云う。

「南京米の味も知らねえで、坑夫になろうなんて、頭っから料簡違だ」

とまた一人が云った。

自分は嘲弄のうちに、術なくこの南京米を呑み下した。一口でやめようと思ったが、せっかく盛り込んだものを、食ってしまわないと、また冷かされるから、熊の胆を呑む気になって、茶碗に盛っただけは奇麗に腹の中へ入れた。全く食慾のためではない。昨日食った揚饅頭や、ふかし芋の方が、どのくらい御馳走であったか知れない。自分が南京米の味を知ったのは、生れてこれが始てである。