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こうふ

坑夫

夏目 漱石

深更半夜一个人走在松树林里,又累又困还没钱,突然茶店老板回头冲你一笑……这到底是要去哪?前方有啥在等着?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 页

青空文庫

降りながら手を延ばして壁へ触って見ると、雨が降ったように濡れている。

「どうだ、尾いて来るか」

と、初さんが聞いた。

「ええ」

とおとなしく答えたら、

「もう少しで地獄の三丁目へ来る」

と云ったなり、また二人とも無言になった。この時行く手の方に一点の灯が見えた。暗闇の中の黒猫の片眼のように光ってる。カンテラの灯なら散らつくはずだが、ちっとも動かない。距離もよく分らない。方角も真直じゃないが、とにかく見える。もし坑の中が一本道だとすれば、この灯を目懸けて、初さんも自分も進んで行くに違ない。自分は何にも聞かなかったが、大方これが地獄の三丁目なんだろうと思って、這入って行った。すると、だらだら坂がようやく尽きた。路は平らに向うへ廻り込む。その突き当りに例の灯が点いている。さっきは鼻の下に見えたが、今では眼と擦々の所まで来た。距離も間近くなった。

「いよいよ三丁目へ着いた」

と、初さんが云う。着いて見ると、坑が四五畳ほどの大さに広がって、そこに交番くらいな小屋がある。そうしてその中に電気灯が点いている。洋服を着た役人が二人ほど、椅子の対い合せに洋卓を隔てて腰を掛けていた。