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こうふ

坑夫

夏目 漱石

深更半夜一个人走在松树林里,又累又困还没钱,突然茶店老板回头冲你一笑……这到底是要去哪?前方有啥在等着?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 141,690 字 · 283 页

青空文庫

「まだよっぽどあるんですか、僕は少し腹が減ったんだが」

と、とうとう空腹の由を自白した。すると長蔵さんは

「そうかい。芋でも食うべい」

と、云いながら、すぐさま、左側の芋屋へ飛び込んだ。よく約束したように、そこん所に芋屋があったもんだ。これを大袈裟に云えば天佑である。今でもこの時の上出来に行った有様を回顧すると、おかしいばかりじゃない、嬉しい。もっとも東京の芋屋のように奇麗じゃなかった。ほとんど名状しがたいくらいに真黒になった芋屋で、芋屋と云えば芋屋だが、芋専門じゃない。と云って芋のほかに何を売ってるんだったか、今は忘れちまった。食う方に気を取られ過ぎたせいかとも思う。

やがて長蔵さんは両手に芋を載せて、真黒な家から、のそりと出て来た。入れ物がないもんだから、両手を前へ出して、

「さあ、食った」

と云う。自分は眼前に芋を突きつけられながら、ただ

「ありがとう」

と礼を述べて、芋を眺めていた。どの芋にしようかと考えた訳ではない。そんな選択を許すような芋ではなかった。赤くって、黒くって、瘠せていて、湿っぽそうで、それで所々皮が剥げて、剥げた中から緑青を吹いたような味が出ている。