轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しろ

城

和辻 哲郎

「思想」1935(昭和10)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,222 字 · 9 页

青空文庫

ただ石垣に並べただけの石にそんな表現があるものかと言う人があるかもしれない。しかし大阪城を見る人は誰だってあの石には驚くのである。何ゆえに驚くか。山の上の巨岩を見ても同じ驚きは起こらない。そういう巨岩を大阪まで持って来て石垣の石として使いこなしているその力に驚くのである。自分はああいう巨石運搬についての詳しい事情は知らないが、専門家の研究を瞥見したところによると、結局は多衆の力によるらしい。しかしその多衆の力というものが個々の力を累計したものでなく一つの全体的な力に統一されなくては巨石は動かないのである。煉瓦を積んで大伽藍を造る場合にも多衆の力は働いているが、その力は煉瓦を運ぶ個々の力の集積であってよい。巨石運搬の場合には大綱に取りついた無数の群衆と、その群衆の力を一つにまとめる指導者とが必要である。絵で見ると巨石の上には扇をかざした人が踊っている。というのは、全身を指揮棒に代えて群衆の呼吸を合わせているのである。京都の祇園祭りの鋒の山車の引き方はその幽かな遺習であるかもしれない。大阪城の巨石のごときは何百人何千人の力を一つの気合いに合わせなくては一尺を動かすこともできなかったであろう。