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しおをのせたふね

塩を載せた船

小川 未明

「童話」1923(大正12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,881 字 · 12 页

青空文庫

そのときには、不幸な人たちが、しあわせになって、みんなが喜んでいる姿を見たいものじゃ。」と、船長はいいました。

若者は、船長の話によって、深く感動しました。そして、自分には、不幸な母と、腹ちがいの弟と妹があることを知りました。

まったく、あてのない望みを抱いて、彼は、その父の造った美しい町を去って、終わりない旅へと出たのであります。

太陽は、あいかわらず、にこやかに、彼の歩いてゆく道を照らしていました。

「昔、おまえの父は、赤ん坊のおまえをおぶって、このように、あてもなく歩いたものだ。おまえも希望を捨てずに歩くがいい。」

太陽は、こういいました。

夜になると、若者は、大空の月の光を仰ぎました。月は、また語ったのです。

「町よりも、宝石よりも、どんな富よりも、人間の愛というものは貴いものだ。私は、それらの不幸な人たちを毎夜のように照らしている。おまえは、いつまでも美しい、貴い真心を捨ててはならない。」

若者の旅は、それから、夜となく、昼となくつづきました。