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ぼちてんぼうてい
墓地展望亭
久生 十蘭
「モダン日本」1939(昭和14)年7月~8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,485 字 · 93 页
灰白色と黒だけの風景。独逸表現派の陰気な画材に似ていた。
二十人は、角面堡の混凝土の長い壁にそって、二間おきぐらいに立たされた。竜太郎は五番目だった。その右隣りにアウレスキーがいた。
宣告文はわずかに二行ぐらいですんだ。竜太郎も、他の十九人のリストリア人と同じように、反逆罪人のなかに加えられた。異存はなかった。
小太鼓が急き込むような調子で、打ち鳴らされた。
若い士官が、爽やかな声で叫んだ。
「狙ッ」
兵士が一斉に銃を取りあげる。レヴュウの練習のようにキチンと揃っていた。
「撃ッ」
ズズン、と、下腹に響くような鋭い銃声が起り、暫くしてから、ゆっくりと銃口から白い煙が湧きだした。
最初の青年は、瞬間、背伸びするような恰好をし、それから、身体を斜にして、右の肩からのろのろと前に倒れた。
竜太郎は、その方へ顔を向けて、仔細に眺めていた。……ちょうど、ゴヤの『銃殺』の絵とそっくりだった。ただ、鳥毛のついた軍帽と赤縞のズボンのかわりに、ここでは、鉄兜と灰色の外套であるだけのちがいだった。
小太鼓の続け打ち。……遊挺のガチャガチャ動く音。……「狙ッ、撃ッ」……銃声。