轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はかば

墓場

西尾 正

「真珠」探偵公論社、1947(昭和22)年11・12月合併号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页

青空文庫

墓地は深い、じめじめした凹地の中に沈み、そこには雑草、苔、異様なつたかずらがおい茂り、そしてまた石までが腐っているのではないかと思われるほど、漠然と名状し難い臭気が充満しておりました。どちらを向いても放置と老朽の痕跡ばかりです。スティヴンとわたくしこそが、世紀の死の沈黙に侵入する最初の生物ではないか、というような考えが頭の中に漂い始めました。谷のふちの向方には地下の墓所から蒸発しているのか、もやもや立ち昇る煙霧の中へ青ざめた虧けた三日月が射し入っておりました。そして、その弱い、波打つ月光によって、古代の板石や骨壺、石碑や霊廟の正面が、無愛想な並列を作っているのを見分けることができました。すべては砕け、苔蒸し、湿気に浸され、ところどころ見たこともない毒草のおびただしい繁茂で被い隠されていました。

この恐ろしい墓地に入って来て、或る朽ちかけた墓の前まで来ると、わたくしは先ずスティヴンがためらいの素振りを見せたのを、はっきり認めました。担いで来た荷物を抛り出しました。わたくしは電気ランプと二本の鍬を持ち、相棒は同じようなランプと用意の携帯電話器の支度を始めました。