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はかば
墓場
西尾 正
「真珠」探偵公論社、1947(昭和22)年11・12月合併号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页
一言も言葉はありませんでした。何故なら自分の持ち場も為事もよくわかっていましたから。
躊躇なく二人は鍬をとり、雑草の苅りとりを始め、平らなアーチ型の墓地から地面を掘り上げて行きました。三つの巨大な御影石の板から出来ている表面を苅りとってから、納骨壺を見ようと後へ退りました。スティヴンは何か心の中で計算をしているようでした。
それから彼はもとの墓地に戻り、鍬を梃代わりにして、その当時何かの記念碑と思われる崩れた石の、最も近くに横たわっている板石を持ち上げ始めました。うまくは行かないので、手伝ってくれと合図をしました。ついに二人の力は板石をゆるめることができましたので、それを持ち上げると傍らに退けました。
板石を退けると、真黒な間隙が現れました。そこからは、思わず尻込みするほど不快な、沼地特有の瓦斯が吹き上がって来ました。
ややあって、しかしながらわれわれは、再び穴に近づきました。すると悪気の立ちのぼりが少しはしのげるようになったのに気づきました。われわれのランプは石段のてっぺんを照らし出しました。そこには地下の霊液がぽたりぽたりと滴り落ち、そして硝石で被われたじめじめした壁の堺が見えました。