轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はかば
墓場
西尾 正
「真珠」探偵公論社、1947(昭和22)年11・12月合併号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,934 字 · 20 页
しかしながら、彼の次のささやきは仰天動地の恐怖の鎖の中に縛りつけてしまいました。
「ペンダア、――急げ! 無駄だ! 何にもならないぞ、――逃げなきゃ駄目だ、――二人やられるよりか一人の方がいい、――蓋を!――」
ちょっと間があり、また電話が鳴ってスティヴンの絶え入りそうな声……
「もうやがておしまいだ、――これ以上はいけない、――恐ろしい階段を下りずに命が惜しかったら行ってくれ、――だんだん間に合わなくなるぞ、――さようなら、ペンダア、もう会えそうもないなあ」
こうしてスティヴンのささやきは有りったけの恐怖を以て次第に叫びにふくらんで行きました。
「悪魔よ、呪われてあれ、――逃げろ、逃げろ、逃げろ!」
それから沈黙でした。わたくしが息をつまらせて座っている間は、幾世紀もの永い時間に思われました。電話に向かって、その間中、ささやいたり、呟いたり、呼びかけたり、叫んだりしながら。「スティヴン! スティヴン! どこにいるんだ? 返事をしてくれ!」
するとそこから、信じ難い、思いもよらぬ、ほとんど名状し難いもの、――そういったあらゆる恐怖が這い上がって来ました。