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へんじんでん

変人伝

佐々木 邦

「日の出」新潮社、1934(昭和9)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,178 字 · 21 页

青空文庫

主題が変りものだから話に花が咲く。

「結婚はしないと言っていますが、君達の見たところでは何うですか?」

「十年ばかり前までは皆で勧めたんですけれど、もう諦めました」

「無論品行方正でしょうね?」

「その点は豪いものですよ。竹内も菊池も頭が上りません」

「堅いのは結構ですけれど、困ったものですよ。然るべき相手を差向けて交際させて見るような方法は何うでしょうか?」

「迚も/\。僕とは正反対です」

「何が?」

「女ほど汚いものはないと言うんです。僕は又女ほど綺麗なものはないと思っているんですから」

「君は特別だ。極端と極端だろう」

「ハッハヽヽ」

「大野家は結局絶えてしまうんですかな」

「いや、オーノコータリヤで永久に残ると言って威張っています」

「あゝいうのが学問中毒というものでしょう。是非もない」

と父はイヨ/\匙を投げたようだった。

或日、僕は学校で英語の訳解の折、輪講の番に当って、

「額に汗を流すことの嫌いな彼は植民地で成功している独身の叔父さんの靴を待っていたのである。云々」

とやった。よく調べて行かなかったから、誤魔化したのである。

「何ですかね? その叔父さんの靴を待つというのは」