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なつのそうれつ

夏の葬列

山川 方夫

山川方夫『夏の葬列』。同一底本的分册已合并为一书。收入:夏の葬列、十三年、朝のヨット、煙突、お守り、一人ぼっちのプレゼント、待っている女。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 60,161 字 · 122 页

青空文庫

……

茹でたジャガ芋二つの朝食を嚥みこんで海岸の家を出ると、ぼくは六時二十九分の汽車で上京して、品川から四谷塩町行の都電に乗る。そして、いつも古川橋から渋谷川に沿って光林寺ちかく、冬の白じらと色の褪せた寒空のなかに、いまは空のしみほどの煙も出さない薄汚ない煙突をながめ、何故かかならずくる急激な空腹感といっしょに、寒風に裸の皮膚をさらしているその煙突のような孤立した冷えびえとした気持ちが、さらに暗澹としたものに深まって行くのをかんじる。……毎日の、その白黒の四角い壁の中での生活は、まさにその校舎の外観にふさわしく、陰鬱で暗くてみみっちい、憂鬱でみすぼらしいそこの囚人じみたものであった。囚人――そういえば、その汚ならしい四角い白黒の校舎は、なにか刑務所じみた不気味な陰惨さもたたえていた。

そして、そんな囚人のような寒ざむとした毎日をつみかさねているうち、いつのまにか、ぼくにもちょうど同僚と同じ病人としての感覚が生まれてきて、ひどく内省的で悲観的な、孤独な重症患者のような気分までが伝染してきた。……病人どもには(ぼくを含め)おしなべて活気がなく、たまに見たり聞いたりする土方仕事の同級生たちの、サボったり、喧嘩したり、映画を見たりダンスを習ったりするその余剰なエネルギーを、ぼくはふと、別世界のもののように遥かな