轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆうがおのもん
夕顔の門
吉川 英治
「婦人倶楽部 臨時増刊」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,956 字 · 29 页
蔓草の道
一
そして、
『もういいから、中へ這入っておくれ』
と、云った。
由松が中へ姿をかくして、門の扉を閉めても、彼女はまだ、六年住んだ家の屋根や廂や樹を見まわしていた。そして、駕屋の眼にも触れないように、門の土塀に這っている夕顔の蔓を、そっと千断って、袂へ入れた。
『駕屋さん――やってください。一挺は病人ですから、揺れないように』
駕は、傷負を劬りながら――でも軽い弾みをつけながら――駈け出した。
お市は、駕の中から、もういちど、草だらけなわが家の門を振り向いた。
蔓草の道
一
中津の城下から南へ向って、道が町屋から離れると間もなく、嫌でも応でも、浜辺の並木へかかるしかなかった。
『待てーッ』
いきなり横合の樹陰から跳び出した人影がある。しゃ嗄れ声ですぐ老人であることは分ったが、手には、槍を引っ提げ、袴を高く括し上げて、まるで夜叉のような権まくだった。
『お市! これへ出ろっ。他人手を待つまでもない、肉親の父惣七が成敗してやる。――出ろっ、出ろっ。その後で、不義者の相手も刺止を刺してくるるから』
惣七の後ろには、宵の五名も、その儘のすがたで、ずらりと立ち並んでいた。