轻松读懂日语经典作品
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よるのくつ
夜の靴
横光 利一
――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 213 页
」
男は前にいる宿の主人と顔を見合せて黙っていた。貨車に荷を積み込むときや、着いてからまた荷別けのとき、その他私らの立会いでするべきことも、皆私はしないつもりであるから、荷の目標しをしておかなければならぬ。
「荷の着くころ私は東京へ行ってるつもりですが、ひと先ずあなたのお宅へ私のも預けてもらえませんか。それでないと、東京の方の運搬事情は、終戦後どうなっているか、さっぱり僕には分りませんからね。」
「そうしときましょう。」
これも不安なほど簡単だ。とにかく向うにとってはどうでも良いことばかりだが、私にとっては運命のある部分を賭けたようなものである。乗ったが最後ひき摺られ通しは私の方だ。しかし、人の人相は戦争でみな悪くなっているので私は字の方を信用する。これなら私はあまり今まで間違ったことはない。
薄雪が沼の上に降ってくる。私は自分の荷物を失うまいとして、人を仏と見ようとしている自分の利己心について、沼の傍の路上を歩きながら、ときには利己心も良いものだと思った。もし私にこんな利己心がなかったら、一生、人をただの人間とばかり思いつづけたかもしれない。それにしても、人間を人間と思うことは誰に教わったことだろう。