轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よるのくつ

夜の靴

横光 利一

――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 213 页

青空文庫

家を飲み潰し、妻子を残して樺太へ出稼ぎに十年、浮き上ろうにもすでに遅い、五十に手の届いた私と同年の参右衛門の幻影は、節の脱れた鴨緑江節に変っている

「朝鮮とオ、支那とさかいの、あの、鴨緑江オ――おい、おいお前もやれよ。やれってば――」

足をばたつかせて清江にいう参右衛門も、ここの炉端で一人児として生れ、旅をして、またもとの生れた炉端で前後不覚に謡っている。暴れようと投げようと、人の知ったことではない。どう藻掻こうと鍋炭のかなしさは取れぬのだ。外では雪が降っている。

深夜になってから参右衛門は寝室へ這入った。そこは私の寝ている部屋と杉戸一枚へだてているだけで一層私に近くなった。彼の足の先は私の頭のところにありそうだが、寝てくれて静まったと思うと、またすぐ彼は歌を謡い出した。それも炉端のときと同じ歌のくり返しで私は眠れないが、同年のおもいは年月の深みに手をさし入れているようで、彼の脈の温くみが私にも伝わって来る。

「もっとやれ、いいぞ。」と私は云っている。

自分らの青春の夢は、明治と昭和に挟み打ちに合った大正で、以後通用しそうなときはもうないのだ。

「朝鮮とオ、支那の……流す筏は……おい、お前やれよ、おい、やれってば。