轻松读懂日语经典作品
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よるのくつ
夜の靴
横光 利一
――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 213 页
私は日本でもっとも誇りとなるものの一つは農民だと思っているが、もしこれが悪くなればもう日本は駄目だといっても良い。
「不作不作というが、そんなに不作ですかね。どうもおかしいところがあると思うが。」と私は久左衛門に訊ねてみた。
「そうだのう。このへんはそんなでもないのう。」と彼は小さな声で云う。「新聞が不作不作と書きたてるので、米が騰る。黙っておれば良いのにのう。」
「しかし、村にとってはその方が良いわけだな、僕らには困るが。」
「はははは、それはそうじゃ。」
こんな露骨な話の出来るようになったのは、一つは久左衛門がいつも、私に、高い米を買わぬが良い、無くなれば何とかするというからだ。何とかされるのだと思うと油断をして、それならさっそく米を分けてくれとはいえぬもので、いまだに私らはそれも云えずに困っている。疎開者が地方を乱す原因だということは事実である。こっそり米を買い込む算段ならすれば出来るが、私も内心この村の批評をしたい食指いまだに失うことが出来ないので、批評をするからは、やはり少しは欲を抑える忍耐が必要になって力が要る。なかなかこれは疲れるが、私もまた作家の端くれであってみれば、験しに一度はどんと当ってみるつもりの用意も失っていないくせに、そこにはそこがあり、人の思うようには愚かなことを愚には思えぬ苦心がぬけ