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よなきてっこつ

夜泣き鉄骨

海野 十三

「新青年」1932(昭和7)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,273 字 · 31 页

青空文庫

「面白い話だなァ、若けえの」わしは、静かに云った。「だが一つ腑に落ちねえことがあるから尋ねるが、探険隊が工場の暗闇の中にいたとき、クレーンが轟々と動いた。直ぐ灯をつけたが、下のスウィッチは外れていた。いくら其の悪人が器用でも、電気なしで、あのクレーンは動かせないだろうぜ」

「そんなトリックに気がつかない俺ではないよ。その旦那どのは、クレーンを動かすスウィッチと、同じ型の、ソレ乙型スウィッチよ、あれを工場の栗原さんから借りて、暗闇で音をたてずスウィッチの開閉をすることを練習したんだ」

「出鱈目を云うな」

「出鱈目ではない。では、証拠を出そうかね。その旦那どのは、工場の入口と、スウィッチまでの距離と、その取付けの高さとを正確に測って来て、この舎監居間の前の廊下に、それと同じ遠近に、借りて来たスウィッチをひっかけ、真夜中になると、暗闇の中で、練習をしたのだ。嘘と思うなら、舎監居間の戸口から六間先き、廊下から六尺の高さのところに、二本の釘跡があるが、その寸法と、工場のスウィッチの位置とを較べて見ねえ。ぴったりと同じことだ。それから二本の釘の距離は、その旦那どのが借りていたスウィッチの二つの孔の間隔と同じことだが、実はそのスウィッチは製作の際に間違えて、孔の間隔を広くしすぎたので、この廊下の釘の距離も、普通のスウィッチ