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よなきてっこつ

夜泣き鉄骨

海野 十三

「新青年」1932(昭和7)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,273 字 · 31 页

青空文庫

こんなに分量が少くちゃ見当がつかない。薬品のようでもあり、血痕のようでもあり……」

わしは、グッと唾を呑みこんだ。

「もう一つ、見て貰いたいものがある」わしは、新聞紙包みの中から、もう一つの品物をとりだした。「これは何かね」

「こんなもの、どっから持って来たんです」横瀬は、ピカピカ光る、その外科道具のようなものを手に取上げ、ニヤニヤ笑いだした。

「何に使う品物かね」わしは、横瀬の質問には答えようとせず、同じことを、聞きかえしたのだった。

「一口に云えば――」と、わしの顔をジロリと見て、「子宮鏡という、産婦人科の道具だね」

「よし、判った」わしは、ピカピカするそれを、横瀬の手から、ひったくるようにして、元の新聞紙の中に、包んでしまった。

「いや、御苦労だった」と、わしは挨拶をした。「ところで、もう一つだけ、お前さんに見て貰いたいものがあるんだが」

「あるんなら、早く出しなせえ」

横瀬は、面倒くさそうに、云った。

「ここには、無いんだ。ちょっと、近所まで附合ってくれ」

「ようがす。ドッコイショ」

横瀬は、「ひびき」を一本、衣嚢から出して口に銜えると、火も点けないで、室内をジロジロと、眺めまわした。