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よながひめとみみお
夜長姫と耳男
「新潮 第四九巻第六号」1952(昭和27)年6月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,604 字 · 56 页
「みんな蛇ね」
ヒメの笑顔に生き生きと感動がかがやいた。ヒメは頭上に手をさしのばして垂れ下っている蛇の白骨の一ツを手にとろうとした。その白骨はヒメの肩に落ちくずれた。それを軽く手で払ったが、落ちた物には目もくれなかった。一ツ一ツが珍しくて、一ツの物に長くこだわっていられない様子に見えた。
「こんなことを思いついたのは、誰なの? ヒダのタクミの仕事場がみんなこうなの? それとも、お前の仕事場だけのこと?」
「たぶん、オレの小屋だけのことでしょう」
ヒメはうなずきもしなかったが、やがて満足のために笑顔は冴えかがやいた。三年昔、オレが見納めにしたヒメの顔は、にわかに真剣にひきしまって退屈しきった顔であったが、オレの小屋では笑顔の絶えることがなかった。
「火をつけなくてよかったね。燃してしまうと、これを見ることができなかったわ」
ヒメは全てを見終ると満足して呟いたが、
「でも、もう、燃してしまうがよい」
侍女に枯れ柴をつませて火をかけさせた。小屋が煙につつまれ、一時にどッと燃えあがるのを見とどけると、ヒメはオレに云った。
「珍しいミロクの像をありがとう。他の二ツにくらべて、百層倍も、千層倍も、気に入りました。