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ゆめのようなひるとばん

夢のような昼と晩

小川 未明

「良い子の友」1946(昭和21)年6、7月合併号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,487 字 · 5 页

青空文庫

「あまり飛んできたから、びっくりしたんだよ。たった一匹なの?」

「まるこの子だよ。尾の短いの二匹より、一匹でも、このほうがいいだろう。」

二人ののぞく頭のあいだから、太陽ものぞくように、光はかんの中へ射こんで、金魚のからだが、さんらんとして、真紅に金粉をちらすがごとくもえるのでした。

「きれいだなあ……。」と、少年は、感心しました。

「お家へいったら、大きな鉢へ入れてやろう。」

二人は、走らずに、急ぎ足となりました。

「どうして、こんなきれいな魚があるんだろうね。」

「ほんとうにふしぎだね。」

その日の晩は、またいいお月夜でありました。うす絹のような雲をわけて、まんまるの月が、まんまんたる緑色の大空へ浮かび出るのを、少年は、家の前に立ってながめていました。

いつも明るいのに、こよいにかぎって、ピアノのおねえさんの家の窓は、暗かったのでした。垣根のきわに植わっているみかんの木が、黒々として、夜風の渡るたび、月の光にちかちかと、葉がぬれるごとく見えました。

少年は、なんとなくもの足りなさを感じたとき、ぷんと鼻をうったにおいがあります。

「おや、お薬のかおりだ。」