轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆめどのさつじんじけん
夢殿殺人事件
小栗 虫太郎
「改造」1934(昭和9)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,755 字 · 55 页
「それが取りも直さず、孔雀明王の秘蹟では御座いませんか?」と盤得尼は、透かさず眉を張って尚も執拗に奇蹟の存在を主張するのだった。それを、法水は冷笑で酬い返した。
「然し、この点だけは、誤解なさらないで頂きたいのです。貴女にしても、ただ智凡尼の推測から解放されたと云うだけで、つまり、謬説から遁れたと云う事は、正しい推定から影を消したと云う事にはなりませんからね。大体他の三人にしたところが、当時の動静を、的確に証明するものがない始末ですから。いずれ、僕が密室を切開した際に、改めて四人の顔を、膿の上へ映してみる事にしましょう」
盤得尼が出て行ってしまうと、法水は衣袋から一枚の紙片を取り出した。それには、次のような文字が認められてあった。
黄色い斑点の中に赤黒い蝙蝠――盤得尼
全部暗褐色の瓢箪――寂蓮尼
真黒な英仏海峡附近の地図――智凡尼
普光尼は答えず。
「成程、心理試験か……」検事が訊ねるともなしに呟くと、この一葉の上に、法水が狂的な憑着をかけているのが判った。
「うん、推摩居士の行衣の右袖に、瓢箪形の血痕があったっけね。その印象を、僕は求めたのだよ。で、これを見ると、各自が一番印象をうけた時の位置と、大凡の時刻が判るんだ。