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たいせつなめ

大切な芽

宮本 百合子

「女性改造」1924(大正13)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,748 字 · 4 页

青空文庫

侘しい限りだ。

私は、四五年来、何処からかいつか相ふれて来るだろう友を待つことが切であった。近頃その宿望がやっとそろそろ日の目を見るようになって来たらしい。私は近いところに(感情の距離からいって。妙な表しかただけれども。)二人、それより一寸はなれて一人、よい仲間が出来始めた。方向をかえると、他にも二人ばかり。この人達は、皆生れつきが違っている、それで私を種々な方にのばしてくれる。私がよい友となれる希望を充分にもつのは、その人達と一緒にいると私は虚飾を忘れ、楽な、きのままの、それでいて決してうじゃじゃけてはいないいい心持になれるからだ。その人々と遊んだり、喋ったりすると、あとは爽やかで勇気づけられ、意気込んで来る。実生活の上でも、仕事の上でも、本当に友達の有難みを知ることの出来るのは、これからであろうと思っている。その人々とのつき合いが始ってからでも、もう私はかなり深くその感謝を感じていることもある。そんなことを一々具体的に、友の名を並べ面白く書いて欲しいのが、多分編輯の方の目的であったのだろうけれども、私の友情はやっとおそまきの、私にとっては大事な芽を地面の奥でふき出したばかりといってよい時期にある。