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おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
「太陽」博文館、1925(大正14)年7月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,606 字 · 97 页
それに一緒に住んで見れば、柔弱の伊太郎も鼻に付いた。
「万事万端拵え物のようで、活気というものがありゃアしない」彼女はこんなように思うのであった。
「お金持とか上流とか、そういった人達の生活方が、みんながみんなこうだとすれば、ちっともうらやましいものではない」
とはいえ以前の生活へ帰って行きたいとは思わなかった。それは「泥棒の生活」であり又「動物の生活」だからであった。
「何か妾にぴったりと合った有意味の暮らし方はないものかしら」
彼女はそれを目付けるようになった。
伊丹屋の主人伊右衛門が或日女房にこう云った「お錦、近来変わってきたね。なんだかおちつかなくなったじゃないか」
「そう云えば本当にそうですね」女房のお琴も眉を顰め「いったいどうしたって云うんでしょう」
「それにお錦は左の腕を、いつも繃帯しているが、どうも私は気になってならない」
「ほんとにあれは変ですね」
「お前からそれとなく訊いて見るがいい」
――それで、或日それとなくお琴はお錦へ訊ねて見た。
「お前傷でもしたんじゃないの?」
「いいえ、そうじゃございません」お錦はそっと着物の上から左の二の腕を抑えたが、