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おおとりものせんにんつぼ
大捕物仙人壺
国枝 史郎
「太陽」博文館、1925(大正14)年7月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,606 字 · 97 页
「何をするんだよお前達は!」
気丈な彼女は怒鳴り付けたが、何の役にも立たなかった。彼女は直ぐに捉えられた。
「構う事アねえ、担いで行け!」
彼等の一人がこう云った。彼女にはその声に聞き覚えがあった。
「あ、畜生、源公だな!」
「やい、紫錦、態あ見ろ! よくも仲間を裏切ったな、料ってやるから観念しろ!」
源太夫は嘲笑った。
「さあ遣ってくれ、邪魔のねえうちに」
しかし少々遅かった。邪魔が早くも入ったのである。
「これ、待て待て、悪い奴等だ!」
こう云って走って来る人影があった。
「あっ、いけねえ、侍だ」
「またにしろ! 逃げたり逃げたり!」
――源太夫の群はお錦を投げ出しどことも知れず逃げてしまった。
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「娘御、お怪我はなかったかな」
「あぶないところをお助け下され、まことに有難う存じます。ハイ幸い、どこも怪我は……」
「おおさようか、それはよかった。……や、ここに仆れているのは?」
こう云いながら若侍はトン公の方へ寄って行った。
「妾の知己でございます。もしや死んだのではございますまいか?」
お錦は不安に耐えないように、トン公の上へ身をかがめた。
若侍は脈を見たが、「大丈夫でござる。