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だいこんとダイヤモンドのはなし
大根とダイヤモンドの話
小川 未明
「赤い鳥」1923(大正12)年11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,929 字 · 8 页
百姓は、地主がいいことがあるといったのは、なんだろう? きっとなにか大もうけの口があったにちがいない。自分たちは、一年じゅう、こうして、朝から、晩まで働いていても、金のたまるわけではなし、おもしろいことを見るでもない。ほんとうにつまらないものだと思いましたが、百姓は、また、人間というものは、正直に働かなければならないものだと考え直しました。そして、熱心に、自分のする仕事にとりかかりました。
「天気は、どうだろうかな。」と、地主は、歩きながら、植木屋にたずねました。
「だんなさま、このとおり雲ひとつない上天気でございます。このぶんですと天気がつづくだろうと思います。」と、如才ない植木屋は、答えました。
そのあくる日は、いよいよその山の中にはいるのです。力の強い案内人を二人も頼みまして、山奥へと道を分けて、はいってゆきました。
歩きつけない、嶮しい道を登りますときも、地主は目にダイヤモンドの光を見つめていました。それがために、苦しさをも忘れました。変わりがちな秋の空は、たちまち雨になりました。ことに、山の中は、もう寒かったのであります。こんなときも、地主は、ダイヤモンドの光を目に描いて、苦痛を忘れたのであります。