轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

23 他生の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 页

青空文庫

ところが来て見れば、当の御本人が至極平気で、かえって助けに来た自分を邪慳にし、

「そんなわけじゃないよ、お前こそ、わたしを殺したがっているくせに……」

「どう致しまして」

「さっきから、なんだって、あっちこっちでわたしを呼び廻っているの。山の中だからいいけれど、世間へ出たら外聞が悪いじゃありませんか」

「どうも済みません」

「いいから、お帰り、お前ひとりでお帰り、わたしはこの池を廻って帰るから……」

「ですけれど、お内儀さん……」

「何です」

「お危のうございますよ」

「何が危ない。しつこい人だ、お前という人は。うるさい!」

「けれども……」

「大丈夫だよ、お前こそ一人歩きをして、熊にでも食われないように、気をおつけ」

後家さんは、こういって浅吉を振りつけて行こうとすると、浅吉の眼の色が少し変りました。

「お内儀さん……どうしても危ない、あの方と一緒に歩いてはいけません」

「何をいっているんだい、失礼な」

「どうぞ、わたしと一緒にお帰りなすって下さいまし」

浅吉は、とうとう後家さんの袖をつかまえてしまいました。これほどに思い込んで引留めることは、この意気地無しには珍しいことです。