轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

24 流転の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页

青空文庫

真白な湯槽、透きとおるお湯の中に心ゆくまま浸っていると、この山奥の、別な世界にいるとは思われません。

昨日も、そうして、恍惚とお湯に浸っていると、不意に戸があいて、浅吉さんが入って来ましたが、私のいるのを見つけて、きまり悪そうに引返そうとしますから、

『浅吉さん、御遠慮なく』

と言いますと、

『ええ、どうぞ』

と、取ってもつかぬようなことをいって、逃げるように出て行ってしまいました。

なんて、あの人は気の弱い人でしょう。このごろになって、一層いじいじした様子が目立ってお気の毒でなりません。

全く、あの人を見るとお気の毒になってしまいます。死神にでも憑かれたというのは、ああいうのかも知れません。このごろでは、力をつけて上げても、慰めて上げても駄目です。人に逢うのを厭がること、土の中の獣が、日の光を厭がるように恐れて、こそこそと逃げるように引込んでしまいます。

それにひきかえて、あのお内儀さんの元気なことは――お湯に入っているところを見ますと、肉づきはお相撲さんのようで、色艶は年増盛りのようで、それで、もう五十の坂を越しているのですから驚きます。

『あの野郎、もう長いことはないよ』