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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
24 流転の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页
峠の町の人は暫く呆れて見えましたが、それでも要領を得てみれば、この一種異様な迷い子さがしに多少の同情を持たないわけにはゆかないし、最初、藪から棒に、先生はどうしたと詰問されて相手にしなかった家々の者まで、本気になって、その求むる迷い子についての知識を、寄せ集めてくれました。
その言うところによると、たしかに米友のいう通りの人相骨柄の人が、力餅を二百文だけ買って竹の皮に包ませ、蝋燭を二丁買って懐ろへ入れ、さてその次の酒屋へ来ると、急に気が大きくなって、雲助を相手に気焔を吐いていたことまではわかったが、それから先が雲をつかむようです。
そこへ、ひょっこりと現われた一人の雲助が、
「ナンダ、その先生か。そんならうん州が駕籠に乗って、いい心持で鼾をかいてござったあ。今時分は軽井沢の桝形の茶屋あたりで、女郎衆にいじめられてござるべえ」
この言葉に、米友が力を得ました。
二
そこで宇治山田の米友は、峠の町から、軽井沢をめがけて一散に馳せ出しました。
これより先、道庵は、ちょっと買物をするつもりが、雲助を相手に、酒屋へ入るといい気持になり、うっかりその駕籠に乗せられて、有耶無耶のうちにかつぎ出されてしまいました。