轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

30 畜生谷の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,962 字 · 145 页

青空文庫

左右の様子を見てみると、代官の役人共、この我儘貴公子の申し出でを、別段に抑止する模様もなく、むしろ、やんちゃ若様の子守役を、兵馬が引受けてくれれば有難いといったような気色。それを見て、兵馬はいよいよ昨晩の「新お代官」のもてあましの難物というのに思い当りました。すっかり面食ってしまっている兵馬をとらえて、この貴公子は、

「さあ、わしが屋敷へ行こう。わしが屋敷といっても仮の宿じゃ、本当の家は京都の今出川にあるが、ここでわしのために定めてくれた家は、今まで空家になっていた――この幽霊の出そうな空屋敷に、いわば座敷牢といったようなものに、わしはひとり納められて、出入りにも人がつき、身の廻りの世話は代官から、むくつけなのが交代で給仕に来てくれるのみじゃ。そなた、これからわしと一緒に、そのわび住居まで同道しや」

貴公子はこう言って、のっぴきならず、兵馬を拉して、その自分が幽閉されているらしい屋敷へ連れ込もうというのです。

それは前に言う通り、それを預かる代官の家中も、かえって同意的に黙認しているらしいから、やがて兵馬はこの貴公子に引き立てられて、道場を立ち出でました。