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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

33 不破の関の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,467 字 · 168 页

青空文庫

身につけたもので、金の指はめだとか、パチン留めだとか、銀の頭のものだとか、煙草入の金具だとかいうものを、焼灰の中からせせり出す見込みはないか。

紙屑買ののろま清次は、今晩それに眼をつけて、イヤなおばさんの焼灰の跡をせせりに来たものに相違なく、決して最初想像したように、おばさんの亡霊が、心やみ難き未練があって、うきみをやつして化けて出たものではない。

そうなってみると、一方から、この小胆にして多慾なる紙屑買をオドかして、蘆葦茅草をガサガサさせたいたずら者の何者であるかということも、存外簡単な問題であって、それは貉でした。

二十七

土俗の間では、貉と狸とは別物になっているが、動物学者は同じものだと言っていることは前巻にも言った。ともかく、このせせこましいうちに、多分のユーモアを持った小動物は、東方亜細亜特有の世界的珍動物の一つとして学者から待遇されている。人を化すとか、腹鼓を打つとかいう特有の芸能を見る人は見る人として、犬族としては珍しく水に潜り、木にのぼる芸当を持っているということを学者は珍重する。食物にも選り嫌いというものが少なく、小鳥も食い、蛇も食い、野鼠も食い、魚類も食い、昆虫も食い、蝸牛も、田螺も食うかと思えば、果実の類はまた最も好むところで、木に攀じ上ることの技能を兼ねているの