轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
33 不破の関の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 86,467 字 · 168 页
他の何事よりも経済学を無視しているということが、伊太夫にとっては不思議であり、驚異であり、無謀であることを感じずにはおられないらしい。何となれば、伊太夫の頭は、ほとんど全部が経済学から出立しているのです。
自分の家のすべての者が、自分に対して反き去っているということ、その反き去ってしまった結果として、惨憺たる家庭争議がついにこのたびの業火となって、家財、人命をも焼き亡ぼさずにはおかなくなった破局というものも、伊太夫の頭では、やっぱりもとはといえば経済学に根を持っているのだということを信ぜずにはおられません。
つまり、すべての禍の根元は、藤原家のこの財産にあるのだということは、何人よりも、深く伊太夫は観念しているのです。
前妻の子と後妻の子とに蟠りがあるのも、後妻とお銀様との間が火水のようになっているのも、本来、この藤原家の財産がさせる業なのだ、なんのかのというけれど、要するに人間は慾に出立している、慾が無ければ人間がないように、財産が無ければ藤原家はないのだ。家庭争議は忌わしいとは言いながら、先祖以来藤原家が、この国で並ぶものなき家柄に誇り得るのは、こうしてどんな災難があろうとも、災難は災難として、ひとたび自分が顎を動かしさえすれば、たちどころに幾千の人も集まり、幾倍の工事をも為し得るという力、その力に